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懊悩と献身 ~山ぶき~ vol.1 

9月初旬。
例年になく、絡みつくような暑さがまだまだ続いていたこの時期、京田辺市に降り立つ。
前日までに国内最高気温を二日連続で記録していた、とんでもなく暑そうな地域だ。

しかしこの数日後、「国内最高」に疑念が持ち上がることとなる。温度計に絡まっていたツタが原因で、正確に計測できていなかったのではないかという。そして月末には、この「国内最高」は公式記録としては残らないことが決定した。
なるほど。私が訪問した日も、当然暑いには暑かったのだけど、それでも京都市内よりもまだマシだと感じられたわけだ。

近鉄 新田辺駅

それはさておき、この日の私にはさほど時間がなかった。この京田辺市のすぐ北の城陽市で、忙しくしていた。でもスケジュールの合間を縫うようにして、京田辺を訪れた。強引に作り出した時間は1時間半。半ば強行スケジュールというわけだ。
そしてこの日の私のモチベーションの全ては、いくつかの味も色気もないタスクを差し置いて、山ぶきに向いていた。
山ぶき。休日に自腹で出向くにはちょっと億劫だけど、諸々の事情に恵まれれば是非とも訪れたいと思っていた蕎麦屋である。

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実践の相 ~蕎麦工房 膳~ vol.1 


たとえば美味しい蕎麦を打つこと。素晴らしい蕎麦屋を営むこと。そこに不可欠なファクターがあるとすれば、何があるだろうか。

もちろんいくつも挙げられるのだろう。それどころか、もしかすると枚挙に暇が無い程に存在するかもしれない。でも次の3つは確実に存在している。

「感性(抽象性・イメージ)」
・「理性(ことばとその体系化)」
・「実践(具現化・具象化)」


この3つが三位一体となり、欠くことができないものとなっている。あれこれと感じたり考えたり、やってみたりしなければならない。というか単純な話、これらは我々が「簡単じゃない」「難しい」と見なす行為全般に貫徹されているファクターである。

blue_into_blue.jpg

興味深いことに、この京都で名高い手打ち蕎麦かね井蕎麦屋にこら蕎麦工房 膳は、見事なまでにその特色が異なる。各々が、上の三位一体モデルにおけるもっとも色濃い部分が異なっている。
かね井は感性的。フィーリングにもっとも重きを置いている。にこらは理性的。途中で感性と実践を経るにしろ、初めと終わりがことばや理論で成り立っている。
そして今回取り上げる膳は、何といっても「実践」の色が濃い。それも、かね井の感性色の濃さよりもにこらの理性色の濃さよりもずっと濃い。

今回はそんな、いかにも「実践的」な蕎麦屋の話である。

蕎麦工房 膳 案内板 -1

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西陣の地で理論を紡ぐ蕎麦屋 ~蕎麦屋 にこら~ vol.1 


西陣。
正式な行政区分ではないが、京友禅と並ぶ京都の織物産業の一つである西陣織でその名を広く知られる地である。
京町屋と呼ばれる建築様式を持つ町屋もまた、新旧入り混じって多く現存している。

京町屋 お商売用2  京町屋 朱2

私としては、新しいというか商売仕様に改装されたり新築されたピカピカの町屋には関心が持てない。ある種の流行としての京町屋は、「京都らしさ」の過剰な演出があり、古きを装っているだけにしか見えない。
でも、「ただそこにあったし、今もそこにある」という佇まいを持つ本当に古い町屋を見て歩くのは一興だ。

見るものと住むものに間に立たされる昨今にあって、今は朽ち行く憂いを醸している数々の町屋は、死して葬られるものと死してモニュメント化されるものに隔てられる。
そんな運命を辿るのだろうか。

さて。
さほど広くはないこの西陣。しかし京都でも指折りの蕎麦屋が二軒ある。
一軒は手打ち蕎麦かね井
そしてもう一軒は、今回取り上げる蕎麦屋 にこらである。

蕎麦屋 にこら  店先

記憶が定かではないが、おそらく4度目の訪問だ。

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全方位型蕎麦屋 ~石臼挽き十割そば しゅばく~ vol.1 


宇治橋 紫式部像-1

小春日和が嬉しいある日、午前中に慌しくも宇治観光(もどき)を終える。
そして現在は、ある蕎麦屋の前にいる。
時刻は午前11時20分頃。
その蕎麦屋は石臼挽き十割そば しゅばく。開店10分前である。

観光客らしきオジサマ1人、別の女性2人組と共に開店を待つ。
見るからに高そうなカメラで店前を写真に収めているオジサマ。
「彼もまた蕎麦好きなのだろうか」
そんなことを考えている内、若い花番さんが店内から出てきて暖簾をかける。
ちょうど11時30分。

手打ち十割そば しゅばく 暖簾

今月の暖簾は桜か。

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緩やかで甘美な時・空間で頂く ~手打ち蕎麦 かね井~ vol.1 後編 


(続き)

「だし巻き」「そばがき」「鴨汁そば(抜き)」。
これら三品を一度の訪問で同時に頂いたことはない。
もしそうすることができたなら、もはや蕎麦切りを頂くまでもなく店を出ることができるだろう。
静かな興奮と得難い満足感を胸にして、帰路はさぞかし華やいでいるように感じられるだろう。

京都地方法務局7-1

でも、ここは蕎麦屋。
しかも手打ち蕎麦 かね井だ。
蕎麦切りを頂かずして帰ることなどできない。
構わないよといわれても、そうはできない。

ここには毎訪問時に必ず頂く蕎麦がある。
迷いなく頂く蕎麦がある。

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蕎麦、中華そば、側(そば。つまり私たちの身近にあるもの)等、ソバ全般に関して。

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