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菖蒲池で半茹で蕎麦について考える ~そば切り 彦衛門~ vol.1 前編 


とある日曜の昼前、近鉄奈良線は菖蒲池駅に到着。
菖蒲池。
これを「しょうぶいけ」と読んでいたのは私だけではないはずだ(だって、同じ漢字でそう読ませる苗字を持つ人を知っているし…)。
まあ、そんなことはどうでも良い。
この「あやめいけ」に来たのは、他でもない。
そばきり 彦衛門への初訪問を果たすためである。

駅からは歩いて10分前後で到着。

蕎麦きり 彦衛門 店先

案外、外装は普通なのね。




昼営業開始直後に入店。

蕎麦きり 彦衛門 店内1 蕎麦きり 彦衛門 店内2

外装もそうであったが、内装にも特に感じ入るものはない。
そこに足を踏み入れるだけで感性が解き放たれたり刺激されたりするような、特別な何かは感じない。
でも、わかる。
この空間は皆に開かれた空間だ。
初めての人でも肩肘張ることはなさそうだし、あるいは家族連れでも安心して入店できそうな敷居の低さがある。
それでいて「庶民性」なる甘えに身を委ねてもいないのが良い。
よくよく見ると、慎ましくも美意識を反映させた装飾品ないし調度品が細部に散りばめられている。

蕎麦きり 彦衛門 店内3 蕎麦きり 彦衛門 店内5

また、今回は写真に収め忘れたが、他の蕎麦屋とは異なって箸袋にもほんの少しの和の様式美が求められている。


席に着き、お品書き(これ)を見る。
訪問前から既に注文するものを決めていたのだが、それでも一応見る。
興味・関心、そして何より食欲をそそられるものがいくつかある。
特に「貝柱とあわび茸のせいろ」には、訪問前からその誘惑に負けそうになっていた。
でも初訪問の私が注文するのは、やはりこの店の蕎麦の味わいが一番シンプルにわかるもの。
「まずは、ご主人が標榜する蕎麦のベクトルを」といったところだ。

私が注文を終えた頃を境に、少しずつお客さんが増えてくる。
老夫婦、高齢の友人同士、もう少し若い家族連れ。
高齢の方々は皆、朗らかに笑っている。
うん。
やはり、良い蕎麦屋なんだな。


蕎麦を待つ間は、お通し(関西では「お付きだし」という)の蕎麦かりんとうを少しだけ頂く。

蕎麦きり 彦衛門 蕎麦かりんとう

ややあって、まだこの仕事に不慣れだと伺える若い花番さんが最初の料理を持ってくる。
緊張気味の面持ちに、少したどたどしい話し方。
頑張れ~。

・ あらびきのそばがき

文字通り、粗く挽かれた蕎麦掻。
檜の葉や貝割れが添えられ、ビジュアル面からも美味しさが求められている。

蕎麦きり 彦衛門 粗挽きそばがき

このカタチを崩すのはやや惜しいと思いながらも、一口頬張ってみる。
「ほう。そうきたか」。
本来ならば無際限に広がる蕎麦の甘味や甘い香りが、黒殻によって抑制されている。
そしてもちろん黒殻は、穀物感も付与する。
大人びたテイスト・フレーバーを醸している蕎麦掻である。

蕎麦きり 彦衛門 粗挽きそばがき2

醤油で頂くのも良いが、ここはやはり鮫肌おろしを使って自分で擂る山葵が良い。


続いてやって来たのは、女将さん。
笑顔の奥に落ち着きや芯の強さが垣間見えるような、何とも腹の据わった接客をなされる方だ。
堂に入った立ち振る舞いを身体で覚えているといえようか。
そんな彼女の手には、私が注文した1枚目の蕎麦がある。

・ 絹びきせいろ

翡翠色で、やや黒い殻も混じった十割蕎麦。
この日は山形県庄内産の蕎麦が用いられているのだという。
切り揃えはあまり良くなく、乱切りに近い。

蕎麦きり 彦衛門 絹引きせいろ

啜り上げれば、比較的スムージーなテクスチャーであることがわかる。
噛んでもやはり、相応にスムージー。
割合に細かく挽かれているためか、途中で粗く挽かれた箇所の引っ掛かりを感じることがない。
その名の通り、絹のごとし滑らかさが標榜されているのだろう。
もちろん粗めに挽かれていないこともあってか、強い甘みと香りを放つことはない。
しかし十割蕎麦として一応のツボを抑えられた、ある種の優等生的な風味がある。

蕎麦きり 彦衛門 絹引きせいろ2

この不揃いな切り幅。
もしかするとご主人が意図的にされているアソビなのかもしれない。
幅の異なる蕎麦を啜るという面白みを楽しませようとする投企なのかもしれない。
うん。
そう好意的に解釈することもできる。
しかしもし「絹らしさ」をストイックに求めるのだとすれば、つまり滑らかさを求めるのであれば、やはり切り揃えを均質的するのも一つの手段だと思う。


「絹びきせいろ」を食し終える頃、2枚目の蕎麦がやってきた。
この蕎麦屋に来た最大の理由である「あらびきせいろ」だ。
そう、これを頂きたかったのである。
しかしこの時点では、よもやこの蕎麦が…。

(後編へ続く)

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蕎麦、中華そば、側(そば。つまり私たちの身近にあるもの)等、ソバ全般に関して。

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