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菖蒲池で半茹で蕎麦について考える ~そば切り 彦衛門~ vol.1 後編 

「絹びきせいろ」を食し終える頃、2枚目の蕎麦がやってきた。
この蕎麦屋に来た最大の理由である蕎麦だ。
そう、これを頂きたかったのである。
しかしこの時点では、よもやこの蕎麦が思いも寄らぬ方向へと舵を取ることになるとはつゆ程も知らなかった。



・ あらびきせいろ

やや太めの粗挽き十割蕎麦。
こちらの蕎麦は栃木県は益子産。
やはりあまり均等には切り揃えられておらず、乱切り傾向アリ。

蕎麦きり 彦衛門 粗挽きせいろ

噛めば、相応の穀物的な香りや実の甘みを感受できる。
美味しいには美味しい。
けど、何だろう。
この蕎麦切りの潜在能力が、如何なく発揮されていないようにも感じる。

乱切り傾向のあるこの蕎麦には、茹で湯が通り切っていない箇所がいくつかある。
他よりも太く切られた蕎麦が混じっている故に生じたイレギュラーなのか、それともご主人が意図的にそうされているのか。
それはわからない。

蕎麦きり 彦衛門 粗挽きせいろ2

私としては元々、噛む際に蕎麦が歯に粘つくこと、そして蕎麦の先端が口中に軽く刺さるような感じが苦手ではある。
粘つきや刺さりが、蕎麦の演奏音を阻害する雑音のように感じるからだ。
でも、それだけじゃない。
味や香りも何かが違う。
些細な差異かもしれないけど、何かが不足しているように感じられるのである。

もちろん、もしご主人が意図的に蕎麦を半茹で気味に仕上げられているのであれば、そういうベクトルが目指されているのだとして納得することもできる。
一応。
実際、この蕎麦屋に限らず他の有名な蕎麦屋などでも、太切りの蕎麦が半茹でで供されることは往々にしてある。
一定の支持層もいるのであろう。
となると私は、この類の美味しさを逃しているのだろう。
いずれは、その美味しさも捕まえることができるのかもしれない。

しかし他方では、以前から次のようにも考えている。

蕎麦の実そのものと蕎麦切りの最大の相違点の一つは、蕎麦切りが実ととの共同作業でできていること。
冷たい蕎麦切りが作られるまでに、蕎麦の実は水回しと茹で、そして水晒しと少なくとも3度に渡って水と付き合わねばならない。
どの蕎麦の実にどんな水をどう付き合わせるのか。
これが蕎麦切りの成否を分ける重要な課題の一つであることは、ここで敢えていうまでもないだろう。
そしてこれは私の味覚・嗅覚・触覚による推論(稚論・痴論)になるのだが、

蕎麦を茹で上げる段階である程度以上の湯を通し、そこで初めて蕎麦切り固有の美味しさが生じる

のではないだろうか。
もちろん茹で過ぎは蕎麦切りを台無しにしかねないけど、そうかといって逆に茹で不足だと、蕎麦の実と水のシナジーを得るにも至らないのではないか。
今のところはそう感じている。
あるいは、依然としてそう感じている側面がある。
半茹での蕎麦切りだと、「蕎麦の実と蕎麦切りの中間領域」もしくは「蕎麦切り寄りだけど、ギリギリ中間領域」に位置しているような味わいに感じられ、どうにも落ち着かない。
「蕎麦の実以上、ギリギリ蕎麦切り未満」ともいえようか。

そういうわけで、もう少し長い時間茹でられたこのあらびきせいろを食してみたいというのもまた、偽りなき本音なのである。

P1000631.jpg

ただし。
ここまで言っておいて何だが、いつかは「半茹で蕎麦」も美味しく味わえるようになりたいとも思っている。
だってね。
「これはダメ!美味しくない!!」と断じて自らも固定化するよりも、「美味しい」が多い方が楽しいし幸せに決まっているから。


笑顔の花がたくさん咲く朗らかな店内で、1人場違いなことを考える男。
でも「ああだこうだ」と(こころの中で)難クセをつけながらも、結局はそれ相応に美味しく頂く。
そしてこのように「ああだこうだ」と語らしめる蕎麦こそが、一食べ手に自分の好みや持論を硬直したものにさせないためにも不可欠な「美味しさ」を持つことを、改めて実感させられる。
それもまた、蕎麦の食べ歩きの醍醐味の一つなのである。



誰をも受け入れるであろうオープンな蕎麦屋であり、センスある装飾品・調度品も嬉しいそばきり 彦衛門
一定水準以上の蕎麦の蕎麦をはじめ、種物や肴も充実している良店である。
個人的には「今後は蕎麦がどうなっていくのか」「今後も蕎麦が変わらないとして、それを私がどう感じるに至るか」が気になる。

滅多に行くことのない奈良には他に行ってみたい蕎麦屋がいくつもあるため、次回の訪問は何年か先になるかもしれない。
しかし他の蕎麦通・蕎麦好きさんたちの評価を参照するなどして、定点観測することとなるだろう。

開店5年目のこの蕎麦屋には、より一層の発展が見込めるだろう。

蕎麦きり 彦衛門 店先2

(訪問時、2010年2月)

○ そばきり 彦衛門(公式HP

住所:奈良県奈良市あやめ池南6-5-38(地図
営業時間:11:30~14:15 17:30~20:15(14:15と20:15はラストオーダーの時間)
定休日:水曜日および第2・第4火曜日
電話番号:0742-53-3697
備考:駐車場アリ
    禁煙(だったはず)

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COMMENT

微妙なタッチですね。
お蕎麦屋さんとしては粗挽きは結構難しいお蕎麦なのだと思います。
微粉だけだと粒子が結合しにくく、荒いだけでも同様になり、このブレンドに味と香りを封じ込める。
以前あるお店のご主人が言っておられました。

開店一年後位に何度かお伺いし、昨年久し振りに訪れたのですが,少しずつ少しずつ変わっているのかも知れません。
話は変わるのですが、コメントの背景か文字の色、どちらかを変えて頂けると幸いです。御免なさい。
贅沢を言います。
2010/04/01(木) 22:10:35 | URL | エノさん #- [Edit]
エノさん こんばんは

素人の身勝手な想像ですが、粗挽き蕎麦の難しさの一つは相反する2つのミッションを遂行せねばならないからだと、私は想像しています。
味や香りを追求すれば当然あまり熱を加えたり細かく挽いたりしないものになるのに、それでも「蕎麦切りはやっぱある程度長くて、ある程度啜り心地や喉越しが良いものできなきゃ」という打ち手自らの(そして、お客さんの)声にも従わなければならない。
この現在進行形の葛藤。

>コメントの背景か文字の色、どちらかを変えて頂けると幸いです。

う~、ごめんなさい。
私も「見にくいよなぁ」と感じていて、HTMLやRSSと睨めっこしたり「こうすると良いよ」と教えてくださるサイトを見ているのですが、何故かできなくて…。
PCはからきしダメな私です。

でもいつかできるように、努力いたします。
2010/04/02(金) 01:13:32 | URL | 京瑠璃 #3KrfhFaQ [Edit]

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蕎麦、中華そば、側(そば。つまり私たちの身近にあるもの)等、ソバ全般に関して。

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