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カラスの勝手で症 


「ねぇ、ちょっとちょっと!」
「・・・」
「ちょっと!」
「・・・」
「ねぇ、そこのカラスさん!」
「うるさい!」

鴨川のカラス3

「ハハハ。ごめんごめん。ところで君は・・・」
「・・・」
「メスだな」
「?」
「メスだろ?」
「そうね。あなたがそう思いたいのならそうかもしれないわ」
「君がメスならば・・・」
「何よ」
「カラスのカラ子さん。そう。KARA子さんだな。アハハ」
「時世的に微妙な名前ね。ひどいセンスだわ」
「気に入らない?」
「あまりね」
「それで、ちょっと君に訊きたいことがあるんだけど良いかな?」




「お断りよ」
「でもその前にさ」
「その前にってどの前よ。私、あなたの質問に答えるだなんてひとことも言ってないわよ」
「さっきから呼びかけていたのに、どうしてすぐに返事してくれなかったのさ」
「答えると言ってないというのに」
「ねぇ、どうして返事してくれなかったの?」
「はいはい…。そんなの決まってるじゃない」
「え?」
「でもどうせあなたにはわからないと思う」
「たくさんの人に話しかけられて面倒で、もう答えないようにしたとか?」
「それはある。でもそれだけじゃない」
「それだけじゃない?」
「そう。で、説明しなきゃダメ?」
「できれば」
「・・・わかった。良いわ。面倒だけど教えてあげる。それは、あなた達人間がね」
「ふむ」
「勝手に私たちと話が通じ合っているつもりになるからよ。私たちカラスだけじゃなく動物全般とね」

100613a51.jpg

「通じ合っているつもりになるってどういうこと?」
「あなた達は最初から『か弱きもの』とか『庇護を求めているもの』とか『呼びかけに応じるもの』とかそういうイメージを作っちゃっていて、あなた達の中のそれと話しているだけなの」
「イメージ」
「そう。イメージよ。しかも今風にいえば『上から目線』で作ったイメージ。私たちをフィルターにしてそのイメージと話しているの」
「フィルター」
「だから私たちが実際に何か言おうが言うまいが、それが本当に理解できるかできないかとか、そんなことはあなた達には関係ないのよ。だからもう話さないことにしたの。そもそも私たちが話さなくても、あなたたちは私たちが何か話していると勘違いするしね」
「う~ん、わからないなぁ・・・まあ良いや」
「わからないのに一体何が良いっていうのよ。私にこれだけ話させたんだから、ちょっとはその足りない頭で考えてごらんなさいよ」
「それで、えっとさ」
「考える気は無いのね」
「えっと~」
「何よ」
「何だっけな」
「じれったいわね!何なのよこのトーヘンボク!」
「あと少しで思い出せそうだ。しかしトーヘンボクだなんてもう死語なんじゃないかな」
「ねえ、もう行って良いかしら?!今日は贔屓にしているゴミ置き場の収集日なの」
「収集日?」
「そろそろ行かないとエサを清掃車に全部持って行かれるってこと。カラスの世界にも縄張りってものがあっ」
「思い出した!君に尋ねたかったのはね」
「呆れるわね、人の話を遮るなんて。まるで泉ピン子じゃない」
「どうして君たちカラスは僕たち人間にあまり近付かないんだろう、ってこと」
「『どうして』ですって?!」。
「たとえば・・・、ほら、この鳩」
「鳩」

インテックスの鳩2

「僕の横にこんなに寄り添っている。他の鳥だってこの鳩みたいに近付くのもいるよ。でも君たちは近寄って来ない」
「あなたって本当にバカね」
「え?」
「鳥にしては体が大きくてクチバシも大きい。しかも黒くて鳴き声が汚いとか何とか言っちゃって、はじめに私たちを敬遠したのはあなた達の方じゃないの。あなた、一度石を投げられたりエアガンで打たれたり猟銃で撃たれたりしてごらんなさい」
「痛そうだ」
「神の使いだなんて言われたと思ったら、次の瞬間には鳴くだけで不吉なものとして扱われるって経験をしてごらんなさい。『うわ~…、嫌だなぁ』って顔をされてごらんなさい。自然と人間から距離を取るようになるわよ。いつでも逃げられる準備をするようになるんだから。あなたたちに直接エサをねだらなくなるんだから。でもそれもただの生存戦略の一環で・・・って、ねぇ?聞いてる?」
「お~、よしよし。この可愛い鳩め」
「やっぱり聞いてない!」
「えっ?いや、その、あの、聞いていたよ。聞いていましたとも。はい」
「本当に?」
「それはその、僕も人間の一人として申し訳無く思う。うん。君たちを邪険にすべきじゃない」
「何馬鹿なこと言ってんのよ」
「え?」
「私はあなたに抗議しているんじゃない。だってそれぐらいのこと、生き物の世界じゃ当たり前でしょ?お互い様なのよ。あなた達何年も地球で暮らしてきたのにまだわかってないの?勝手に思いあがっちゃって、お気楽ですこと」
「君は生き物の世界に詳しいんだ」
「知らないわよ、そんなこと。じゃあもう、本当に行くわね」

鴨川のカラス2

「あ、ちょっと待って!」
「何よ。もうお腹が空いていて、しかもあなたの存在のせいで苛立って仕方が無いのよ?」
「今もう一つ思い浮かんだんだけどさ」
「また?!あなたエジソン?!」
「KARA子さんさ」
「結局、私はKARA子なのね」
「たとえばこの鳩みたいに、もっと可愛い声で鳴いてみるとどうだろうか。いや、鳩よりも猫の方が良いか」
「猫ぉ?!」
「そう、猫だよ」
「あのねぇ、あなた」
「何?」
「ちょっとは想像してごらんなさいよ」
「何を?」
「このドス黒くて大きな体、大きなクチバシで『ニャ~』なんて鳴いている私を想像してみてよ。夕暮れ時にニャーニャー鳴いて飛び交う何十匹ものカラスを想像してみてよ。気味悪いったらありゃしないわよ」
「プフッ!そうかもしれない」
「自分で言っておいて吹き出してどうすんのよ」
「かえって怖いかもしれないね」
「ほらね。だからちょっと間の抜けた声で『カー!』って鳴くぐらいの方がまだバランスが取れるのよ。あなた達の恐怖心や嫌悪、攻撃心を少しは和らげる」
「君は『グァ~』だけどね」
「クチバシで脳天をカチ割るわよ」
「君ももう少し声が良ければなぁ」
「うるさいわね。これでも海の向こうじゃクロウ(crow)とかレイブン(raven)って呼ばれるのよ。良い響きじゃない?」
「苦労?例文?」
「良いの、何でも無いわ。忘れて」

gato.jpg

「でも、猫。うん。猫は良いんじゃないかな」
「・・・」
「可愛いくて・・・」
「可愛くて?」
「可愛くて・・・可愛い。ウフフ」
「あなた、今この上なく気持ち悪い顔してるわよ。それにしても、あなたってつくづくお気楽な人ね」
「えっ?」
「あなた、気付いていないの?猫さんたちはもうそのDNAにインプットされているのよ。可愛く鳴いてりゃ、人間がエサくれるってさ。大事にしてくれるってさ。鳩さんも似たり寄ったりね。あなた達も本当はわかってるじゃない。『猫撫で声』とか『猫を被る』っていうぐらいだからさ」
「そうそう!『虎の威を借る猫』ともいうね」
「それは意味合いが違うし、だいいち虎の威を借るのは猫じゃなく狐よ」
「えっ・・・嘘・・・」
「あなたみたいな人を最近じゃ『おバカ』って呼ぶらしいじゃない。そう呼ぶのって、あなた達の社会的に考えて救いがあるのかますます泥沼化していくのかわかんないわよね」
「狐だったのか・・・」
「それとね、人間が大事にしてくれるといえば、最近じゃクジラさんやイルカさんも上手くやってるわね。海の向こうでは今や彼らも『お犬さま』みたいなものよ。犬公方ならぬクジラ公方を増やして、人間を味方につけたの。味方につけたっていうか人間の方が勝手に入れ込んでいるだけなんだけどね。クジラさんたちは『これ幸い』って、安心して繁殖活動に励んでいるわ」
「でも一口に猫っていっても、色々いるよね」
「猫に話を戻すの?!傍で聞いている人がいれば絶対についてこれないわよ。あなたモテないでしょ?」
「たとえば、ほら。これ」
「どれ?」

gato_feo.jpg

「この猫はさ、身体は黒くて色褪せていて、しかも黒目が見えない不気味な目を持っている。おまけにダミ声ときたもんだ。人間に同情を請い、エサをもらって生きている」
「あなたたちが勝手に怖がったり同情したりしているだけだと思うけど」
「それと飼い猫だった頃に避妊手術をされて、しかも捨てられたんだって」
「それで?」
「可哀相じゃないか」
「はいはい、そうね。あなた達人間は良いわねぇ。羨ましいわ。子供を生まなくても、生きる目的を別のことに見出すことができる」
「ん?」
「でもあなた達以外の生き物はどうかしら?後世に遺伝子を残すことだけに全存在をかけているかもしれないわよ」
「?」
「でもあなた達はあなた達の都合だけで犬さんや猫さんたちに避妊手術とかパイプカットなんてしちゃってる。私だったら、とって食われる方がマシかもね。弱肉強食。それは『想定内』のこととして私たちの身体にプログラミングされているから。ホリエモンは元気?」
「知らない」
「でも生殖本能が高まる繁殖期に、行く当てを失った衝動の高まりだけがあるとね、もうわけわかんなくなりそう。特にオスだったらそうね。ただ・・・」
「ただ・・・何?」
「それに情を寄せたり動物愛護運動をしたりするのはおカド違いよ。クジラさんの件もそうだけど、全部あなた達の物差しだけで勝手にやってるだけもの」
「物差し」
「偏愛よ、偏愛。まるでストーカー」
「恋愛を『変愛』と書いちゃう人っているよね」
「エコだとかいう環境問題も同じだけど、初めから動物愛護だとか環境保護だなんていわずに自分たちの衣食住、そう、生活環境のためだって言えば良いのよ。言わないから胡散臭くなるのよ」
「でも『ただ自分たちのためだ』って強調し過ぎることもまた、『自分たちさえ良ければ』が過度に強まりそうだね。う~ん、そこのバランスが難しい」
「勝手に悩んでなさい」

アオサギ
「ようしゃべるカラスやなぁ…」

「ところであなた、思い出したわよ。この前お友達に『自分は犬の飼い主があまり好きになれない』とか言ってた人ね。どこかで見たことあるなと思ったのよ」
「言ったよ。聞いてたの?」
「深夜の河原で酔っ払って大声で話せば、聞きたくないものも聞こえるってものよ」
「近隣に家は無いから、誰かに迷惑をかけたつもりはない。それに言ったことも覚えているぐらいの酔いだった」
「それは別に良いのよ。それよりもあの時何て言ったのか今思い出せる?」
「飼い犬に何かを指示するためにたとえば『ポチ!』とか『ポチ!○○しなさい!』とか言うなら良いんだよ。感じの良いブリーダーさんたちもたくさんいるということさ。それに僕とは親しくして頂いている人もいる」
「うん。それで?」
「でも他人に見られていることを十分に意識した上で、満面の笑みで飼い犬を可愛がっていたり話しかけ過ぎていたりする飼い主さんたちを見ると、彼らがみすぼらしい自己陶酔と自己顕示欲に浸っているようにしか見えないんだ。犬を利用しているというか、君のことばを借りれば偏愛っていうか。犬のことなんて本当のところは何も分からないのに、通じ合っているように錯覚している」
「ええ。そんなことを言っていたわね」
「うん」
「でもあなたも人のこと言えるのかしら?」
「えっ?」
「あなたは今、そうやって口を開かずに私に話しかけている。こころの中で『念』を送るように私に語りかけている。人の目を気にしながら」
「そう。だって実際に口を開いて話しかければ、たとえばあそこにいるお爺さんなんかは目がテンになるよ。この鳩が豆鉄砲を食らったような顔になる。訝しそうに僕を見るだろうし、僕は恥ずかしい」
「私が言いたいのはそういうことじゃないのよ」
「どういうこと?」
「あなたは私と通じ合っているつもりなのかしら?」
「えっ?」
「でも私はさっきから何も話していないのよ」
「ええっ?!」
「私、最初の方に言ったわよね。『そもそも私たちが話さなくても、あなたたちは私たちが何か話していると勘違いする』って」
「まさか君は・・・」
「あなたが私をメスだと思いたいのなら私はメスだって言った意味もおわかり?」
「まさか君は・・・」
「そう」
「幽霊なのか?!」
「違うわ!」

鴨川のカラス5

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COMMENT

京瑠璃さん、こんにちは。

今回は、お蕎麦の記事ではなかったんですね。
お話しを読んでいるうちに、色々と考えたり思い出したりしてしまいました。

この間TVで「志村動物園」という番組の中で、動物と会話が出来る「ハイジ」という女性が登場した時があって・・・
で、そのハイジが、ブリダーに虐待を受けていたパピヨン(現在は、杉本 彩さんの元で暮らしています。)の小梅ちゃんと会話をして飼い主さんに思いを伝えるという話し。
他にも、我が家の「狛・雷門」との接し方とか、散歩中に「狛・雷門」を異常に恐がる方の反応とか・・
あと、同じカラスでも「怖い」と思う時と「可愛い」・「カッコイイ」と思う事があるのはどうしてなんだろ? とか。
2011/02/23(水) 17:19:32 | URL | こま #JK/.nkhc [Edit]
こまさん こんばんは

このエントリーは、あまり家にいる時間の無い私がたとえば電車に乗っている際の移動時間等に遊び感覚で携帯に書き込み、それをPC使用に少し拡大したものです。
だから「あはは」「とほほ」「つまんね。半分で読むのを止めちゃったよ」ぐらいの気軽さで良いですぞ。

本文と必ずしも関係があるわけではない(ないわけでもない)私の考えは以下です。

私たちは私たちの認識力と生命維持の必要性を持ってして動植物に接するしかない。
しかしそれと同時に私たちは、動植物が私たちの判断基準や度量衡では計りきれない「わからなさ」=別世界を持っていることを忘れず、それらに一目置かなければならない。上から目線でも下から目線でもなく。

と、シンプルにいえばこの2つです。この2つを常に兼備しておくことです。
だからたとえば何かある小動物を「可愛い」「可哀相」と思うこと自体は別に何も問題なくて、でもその小動物のことを本人も知らぬ間にわかりきった気持ちになってしまっている(人間色に染め上げてしまっている)のであれば、「おいおい、それはどうかな」という話です。

そして自分たちのことでさえまだまだ全然わかっていない私たちですから、人間と動植物のつながりがKARA子さんがいう程ドライな関係なのかどうかもわかりません。

そんなこんなで私は、動植物は完全な余所者とも近親者とも言い切れないような、「わからなさ」=「知りたい」という気持ちを与えてくれるなかなか刺激的な存在だとポジティブに捉えています。
2011/02/24(木) 23:26:38 | URL | 京瑠璃 #3KrfhFaQ [Edit]
はじめまして。
人間色も度が過ぎて、何といってよいのか。
近所では歩いている犬を見かけなくなりました。
服をきてベビーカーに乗っております。
??
カラス、一時期飼っていたことがあるのですが慣れてくると甘えた声で鳴きますよ。
普通は聞けない鳴き声です。
2011/03/09(水) 12:42:44 | URL | 25¢ #- [Edit]

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「ねぇ、ちょっとちょっと!」「・・・」「ちょっと!」「・・・」「ねぇ、そこのカラスさん!」「うるさい!」
2012/11/21(水) 11:54:45 | まっとめBLOG速報
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蕎麦、中華そば、側(そば。つまり私たちの身近にあるもの)等、ソバ全般に関して。

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